
がまだすファーマー!
できるだけ長~く、農業を楽しもう!
山川安居野2丁目 菊地 安徳さん・寿子さん
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植木農家の跡取り 「例年より少し遅れとるけど、今年も生育は順調。花もようやく咲き出したよ」。指で指し示す先には、咲いたばかりのイチゴの花が一輪。日光を反射して純白に輝くその姿は、福岡県の独自品種「博多あまおう」の季節到来を告げる目印のようだ。
代々、ツツジ、サザンカなどの低中木類を取り扱う植木業を営んでいた菊地家。「将来は植木を継ごう」。長男としての責任感からか、幼いころから心に決めていたという安徳さん。久留米農芸高校造園科(現:久留米筑水高校環境緑地科)を卒業後、跡取りとして家業を継いだ。
植木からイチゴへの転換
転機は11年前。国による公共事業削減の影響を受けていた植木業に見切りをつけ、品目転換を決意した。悩みに悩んだ末、小郡市でイチゴを生産していた妻・寿子さんの実家に2年間弟子入りして、ノウハウを吸収。平成13年、「博多あまおう」の登場と時を同じくして、JA宮ノ陣いちご部会の一員となった。
部会では唯一、高設栽培を採用。体に大きな負担が掛かるイチゴ生産の現状を踏まえ、「出来る限り作業を楽にして生産性を高めたい」「長くイチゴ生産を続けたい」との思いからの決断だが、作業の省力化以外にもメリットが。高低をつけて栽培槽を配置することで、土耕栽培と比べ面積当たりの植え付け本数が増加。体をいたわりながらも、高収量の実現に成功した。
平成24年7月からは、宮ノ陣いちご部会の部会長に就任。8人の部会員をまとめ上げ、リーダーシップを発揮している。 |
農政連でも活躍
平成22年度から2年間、福岡県農政連久留米市支部山川分会で、分会長を経験。TPP(環太平洋連携協定)の問題に揺れる農業情勢の最前線で活躍し、「いい機会になった。『ピンチとチャンスは紙一重』とよく言うが、TPPの裏にチャンスはない。日本の農業を守るためにも、断固阻止しなければ」と、今後の動向に目を光らせている。
将来を見据えた経営を
品質向上を目指し、耕起を表面のみに留める不耕起栽培を4年前に導入。新たな技術も積極的に取り入れ、「苗の活着がよくなり、全体的に粒も大きくなった」と、今後の出来に手応えを感じている。
夫婦二人三脚で築いてきた生産体制に長男・正隆さんが加わって、今年で3年目。後継者が出来たこともあり、現在、経営規模の拡大を検討中だ。「従来品目の生産面積を増やすのか、新しい品目に挑戦するのか。家族でよく話し合って決めたい」と、そろって意欲を燃やす父と子。「何よりも家族が健康で、長く農業をやれることが一番大事やけどね」。寿子さんの一言に、2人も笑ってうなずいた。
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後継者の正隆さん。
親子3人で協力して農業に励む |

電動ドライバーを改良して作ったオリジナル耕起機を使う安徳さん。
正隆さんの自信作だ
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