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65歳で専業農家に
「今年は例年に比べて発色がいい。ここ数年では、一番いい出来だと思うよ」。自慢のブドウの出来に、表情が思わずほころぶ弘一さん。久留米市内の百貨店などで働きながら、兼業農家として父・新七さんとともにブドウを生産。65歳で退職後、専業農家となった。
“適地適作”で始めたブドウ
三池家の土壌は、粘土質の赤土で、水持ちのいい丘陵地。昔から米麦などの生産にはあまり向かなかったが、果実生産には向いていた。土壌の適性を見極め、ブドウを導入したのは父。その背中を見ながら幼少期を過ごし、社会人となってからは父とともにブドウ生産に精を出した。
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退職を機に農業一筋!
65歳で“二足のわらじ”に別れを告げ、農業一筋に。これを機に、JAの施設園芸リース事業を活用してビニールハウスを建設し、全面積の約4割をハウス栽培に切り替えた。
近年、力を注いでいるのは青系ブドウの生産。30年以上前にも、父が青系品種「ナイアガラ」を導入したが、当時は物珍しさが先に立ち、市場から受け入れられなかったという。時を経て、皮ごと食べられる「瀬戸ジャイアンツ」が登場。市場でも人気を博すと、リベンジ、とばかりに生産に着手した。
「うまい青ブドウを作るには高度な生産技術がいる。確かに難しいけど、そこが面白いんだ」とニコリ。今年は新品種「シャインマスカット」を導入し、試行錯誤を重ねる日々は現在進行形で続いている。
「安全」「安心」は最低限
現在、JAぶどう部会では副部会長を務め、生産はもちろん、販売にも気を配る。
「地元の人でさえ、『こんなにおいしいブドウがある』ことを知らない人もいる。安全・安心は最低限。“量より質”の生産を心掛け、地域に愛されるブドウを作りたい」。傍らの“黒”と“青”の果実は、その熱意に応えるかのように、たわわに実っている。
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「ピオーネ」の袋詰め作業中。一房、一房、丁寧に… |

今年初めて取り組む「シャインマスカット」。大いに期待が持てる出来だ |
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